オケラと暮らす日記

オケラ(ケラ)を飼育しています。

ケラ幼虫、脱皮前の謎行動

2016年11月7日

この日見つけた脱皮直後の子は、抜け殻を食べる前に縦長のトンネルを登ったり降りたりしていた。

f:id:say-01:20161110191007j:plain

なので、抜け殻が比較的綺麗な状態のところを観察できた。とはいえ、写真では分かりづらいな。頭部、胸部がぱっくり割れて、寝袋のようになっている。この子は背を下にして出てきたようだ。写真では殻と上下が逆の体勢だが、まだ白っぽいくせにアクティブに動き回った結果だ。

 

この子は前日、ちょっと面白い行動をしていたのを覚えている。このトンネルは体に対するサイズが大きいので、もしかすると他の大きい子が掘ったものを乗っ取ったのかもしれない。最初に気付いた時、この子は4本の口器を壁に突き立ててじっとしていた。そんなケラを見たのは初めてだったので、興味を惹かれて観察していた。

しばらくのちに、この広めのトンネルの中を所在なさげにウロウロしながら、壁の水苔をほんの少しだけ前脚シャベルですくって移動させるということをし始めた。前脚と口器を軽く壁に押し付け、少し移動してはまた同じことを繰り返してみたり。

トンネルを新たに掘る時はもちろん、壁を均して補強するときでもケラ幼虫たちの動きはもっとダイナミックだ。こんな、コンマ何ミリをどうこうする職人のような動きは見られない。充電中の iPhone を取りに行く間に何かが始まってしまうんじゃないかと思うとその場を離れられず、動画はない。結果としてはその時は何も起こらなかったが。

 

そして脱皮。脱皮はやはり観察していない時に始まり、終わっていた。しかし、この抜け殻を見てある仮説を思いついた。

殻のお尻の方は、トンネルの行き止まり、狭くなったところに押し込まれたようになっている。そして、口器と前脚は、壁に接している。

もしかすると、脱皮する時、口器の先を壁に突き刺し、体を固定しているんではなかろうか。

 

これから先、何度こういう機会があるかわからないが、観察できるものならそのあたりにも注目していこう。

 

2016年11月8日

デネブ級は水槽の角のところが気に入っているようで、観察しにくいことこの上ない。いや、奥に住まいを移されるともっと無理か。ともかくサイズを計測しようと人間は四苦八苦している。32mm はありそうだ。サイズだけなら立派な大人だ。

ケラ、大人びる

2016年11月4日

昨日早朝小さな翅を持って脱皮した子が色づいた姿を見せてくれた。

f:id:say-01:20161106173737j:plain

小さいけれど、片側2枚、しっかりとした翅だ。いきなり成虫の翅が生えるのではなく、脱皮を繰り返して徐々に成長していくんだなあ。害虫駆除のサイトで読んだ回数より、ずっとたくさん脱皮している気がする。

 

2016年11月5日

夜、部屋の明かりをつけると1匹のケラが地上に這い出してきた。観察しやすくて良いなどと喜んでいる場合ではない。これまでに2度あったのでもう覚えた。ダメなんだね…?

f:id:say-01:20161106174418j:plain

蓋を取ってガラス越しではない姿を撮影した。この角度ではわからないが、この子もお尻がなくなっている。もう邪魔しないからゆっくりおやすみ。

 

2016年11月6日

朝、カビの生えた餌を新しいものと入れ替えるなどしていると、水槽の底に巨大なトンネルを建造していたデネブ級が、縦穴をよじ登り始めた。久しぶりにカメラに収められることを期待して準備した。底近くはガラスの写り込みが激しくて肉眼でも見えづらい。照明をつけたり消したり手前に黒いもの(リモコン)を置いたり。

また脱皮したようだ。形が複雑になっている。腹部のキワがフリリーになって、騎士みたいやん!

f:id:say-01:20161106175728j:plain

 

あっ!

翅が!

 

f:id:say-01:20161106175959j:plain

むちゃくちゃ立派になってる!!

翅が大きくなったので、相対的に腹部が短く見える。成虫と幼虫のスタイルの違いはこんなふうに出るんだ!

どうも昨日にでも脱皮したところのようで、抜け殻を一心不乱に貪っている。抜け殻を食べることをDNAに書いて生まれてきたと、確信させる食べっぷりだ。

 

この調子なら、今年中に鳴き出すんじゃないかと期待せずにいられない。

ケラと柿と小さな翅

2016年11月1日

実家から柿をもらってきたので、おすそ分け。個体によって好みが違っている場合に備えて昆虫ゼリーや赤虫も新しいものを入れておいた。

f:id:say-01:20161103150307j:plain

 

末っ子らの水苔は、きれいなものに変えてやった。

f:id:say-01:20161103150634j:plain

引っ越しの時の要領で数を数えた。左の瓶は2匹減って6匹、右の瓶は8匹全部生き残っている。たくましい。

 

2016年11月2日

この日は定休日で、朝早くから留守にしていた。帰宅したのは日付をまたいで2時近く。1日人間の気配の消えた部屋で、ケラたちはどんな風に過ごしたんだろうか。少しは「はね」を伸ばせたかしら。

 

伸ばせたようです。

f:id:say-01:20161103152245j:plain

気がついた時にはもうだいたい脱いでしまっていた。

しかし、殻の様子が少しわかる。胸部の上側を割って出てきてるんじゃないか、これ。

時々、人間から見れば「苦しいんじゃないの」と感じるような、胸部と腹部の間を極端な「くの字」に折り曲げたポーズでじっとしているが、あれはこれに繋がる行動だったんだろうか。

この子はデネブ級にはまだまだ及ばない、20mm弱のサイズの子だが、背中に翅パーツがあるのがよくわかる。

f:id:say-01:20161103153416j:plain

でもまだ成虫というほどでもない気がする。色が出てくればはっきりするかな。

 

先日発見した怪我した子が、また、地上に這い上がってきていた。腹部が半分くらいの長さになっていて、尾葉が黒ずみ、ぽろっと取れてしまいそうだ。今までどこかに隠れて生きていたんだなあ。

でも、もう無理みたいだ。よたりよたりと地上を這って、とうとう動かなくなってしまった。

 

とにかく。この時点で時計は4時10分前を告げていたので、そのままにして人間は寝た。

 

2016年11月3日

脱皮したトンネルは残っていたが、ケラの姿も抜け殻もなかった。ご苦労さん。

ところで、柿は召し上がりましたか。

f:id:say-01:20161103154045j:plain

ほとんど残っていないように見えるけど、頑張って埋めた結果らしい。埋めたということは、食べる意思はあるんだろう。よしよし。

 

怪我していた子は、夜見たままの場所で、死骸になって横たわっていた。

なんとなく、少しでも早く葬ってやれないかという気分になって、柿と同じくらいの深さまで埋めた。

ケラ幼虫とベビーリーフ

2016年10月30日

飼育瓶に入れておいたベビーリーフにかじられた跡がたくさんあった。数種のミックスリーフなのだが、よく食べられているものとほぼ無傷なものがある。今後効率的に給餌(ケラが食べないものは人間が食べる)するため傾向を調べてみる。

f:id:say-01:20161030212436j:plain

これは水槽組の食べ残し。なんの赤ちゃん葉っぱなのか、中原採種場(株)さんの写真と見比べながら調べた。自信ない奴もあるけど、まあ、買ってきたときに見分けられれば名前はどうでもいいか。

 

食べられている箇所に関しては、だいたい地面に一番接していたところなので、デトロイト or ビートの真ん中の方に人気があるわけではない。他の葉も同様。

ホウレンソウとエンダイブには、少しだけかじってやめたようなのもある。あまり好きじゃなかったかな。

グリーンロメインが全く人気ない。次からは人間が食べよう。

水菜はくしゃくしゃになってしまっているが、小さめの葉はかなり食べられていた。大きいのは食べられていないが、味が違うのか硬さなのか、それともおいた場所が悪かったのかなあ。

 

金魚鉢組、大キャンディポット組はどの葉っぱもあまり食べてないようだ。最近、瓶の下の方の新しい水苔の中によくいるようなので、水苔食べる方がいいと思っているのかもしれない。それなら、末っ子たちにも新しい水苔を与えてやった方がいいかな。今度入れ替えしてみよう。

 

末っ子の瓶の一つでは、小さな水菜がボロ切れみたいに食べ散らかされていたが、そのほかは手をつけられていない。

 

なるほど、水菜なら手に入りやすくていいぞ。

夕方店を中抜けして近所の商店で水耕栽培の水菜を買い求め、手始めに水槽組に与えたが、さっき見たら水菜は食べずに今朝人間の食事から取り分けしたキャベツの千切りをもぐもぐしていた。

ケラ・ザ・パフォーマー

2016年10月28日、夜

約一ヶ月ぶりにT沢さんからご予約の電話があった。水槽を自室から運び出し、店内のテーブルに置いてT沢さんを迎えた。上着をかけるハンガーをお渡しするなどしていると、T沢さんは急に水槽に気づいて「ちょっと待って!」と言った。「大きくなってる〜!」

しかし、意外なことにちょっと引き気味だ。「これだけいると……」

 

ベガの死、新しく産まれた子供達…… この一ヶ月の間に起きたあれこれを語りながら一時間の施術を終えた。待合スペースのソファに腰掛けてサービスの白湯に口をつけていたT沢さんが、もう一度じっくり見ようと身を乗り出したのにつられて、私も水槽を覗き込んだ。

f:id:say-01:20161029161901j:plain

「あ、脱皮直後の子だ! T沢さん、これはレアですよ!」

盛大に指が写り込んでいるところから私の焦りがわかる。「また目を離した隙に脱皮されてしまいました。殻をどこに脱ぎ捨てたのかもわからないし」

 

私が写真を撮っている間に、T沢さんは水槽の端に近いところに注目していた。「これが殻ですかね? この子も脱皮直後?」

f:id:say-01:20161029162554j:plain

あ、どうだろう? ここまで全身薄い色の幼虫は確かにあまり見たことないけれど、今日は水槽内の水分量が多くていつもと条件が違う。脱皮したばかりではないように思う。殻に見えるものは、別のものにも見える。

多分、昨日発見した死骸だ。このトンネルの先は、死骸を置いたあたりにつながっている。

 

様々な姿を見せる子ケラたちが、T沢さんにもだんだん可愛く見えてきたようだ。動画に興味を示されたので、私の YouTube アカウントを教えて検索してもらった。この日記にも貼った動画を次々再生しては、面白がってくださった。

 

2016年10月29日

金魚鉢組のベビーリーフに、かじられた跡が残っている。もうそんな時期? 今日は水槽に赤虫を入れた途端に中の子らがわちゃわちゃと騒ぎ出したので、何かそういう日なんだろうかと思って、試しに金魚鉢と大キャンディポットにひとつまみの赤虫を、末っ子たちのキャンディポットに少しのベビーリーフと赤虫1本を入れてみた。

f:id:say-01:20161029165014j:plain

金魚鉢では、あっという間に幼ケラが赤虫にたどり着いてもぐもぐし始めた。

びっくりした。上のきょうだいたちはもっと育ってから赤虫やベビーリーフを食べ始めたんじゃなかったっけ? いや、もう一ヶ月だからちょうどいいぐらいなのか。いつまでも小さいと思っていたが、

f:id:say-01:20161029170049j:plain

トンネルに引っ張り込んだりもできるようになっている。この子は半分ほど食べて満足したらしかった。

 

南向きの窓から光が差し込んで、飼育瓶を照らして眩しい。ふと末っ子を見ると

f:id:say-01:20161029170420j:plain

ビーリーフに乗っかった子がいる。

もっとわかりやすい写真を撮ろうとしたが、ジャンプして土に潜ってしまった。

しばらく他の瓶を観察してからもう一度見ると、1本入れてやっていた赤虫が縦に突き立っていた。下から引っ張ってみたようだ。もう美味しそうな匂いがわかるのか、すごいな。

これからもっとマメにご飯あげないとだなあ。

幼ケラ、赤ちゃんケラの成長

2016年10月28日

昨夜、全てのケラ飼育瓶の食べ残しを取り除き、たっぷりとシャワーをかけてやったところで、今日は一日雨で湿度も高め。水槽組が活発にトンネルを行き来している。

金魚鉢組と大キャンディポット組は、孵化から1ヶ月経ったころのはずで、体長は8〜10mm にも成長している。体長だけならもうデネブ級の 1/3 だが、爪楊枝の先に乗りそうな程度の胴回りしかないので、もっと小さく見える。それでも脚が丈夫になって、かなりの速度で走れるようになっている。

f:id:say-01:20161028161335j:plain

www.youtube.com

自分で掘ったトンネルではなく、水苔の隙間を冒険している。体の色がウナギになってきた。もう赤ちゃんじゃないね。まだ食べないかもしれないが、ベビーリーフを入れてやった。

 

今日は末っ子たちも数匹姿を見せている。体長は5〜7mm。まだ白黒のはっきりしたパンダ柄だ。この子たちは誕生日が2016年10月10日とはっきりわかっているので、成長をきちんと記録しておくことは価値があるだろうな。そこまでできないけど。

f:id:say-01:20161028161458j:plain

www.youtube.com

写真より動画の方が、どこにいるのかわかりやすいです。

ガラスを登ろうとするところをよく見かける。撮影はしていないが、地上をジャンプしたりもする。蓋がステンレスなことが関係あるのかな。入れられた時を覚えていて脱出を図っているんだとしたらすごい。そんなわけはないだろうけど。

ケラ飼育には暗い部分もある

今日はケラ幼虫の怪我と死について書きます。画像もあります。

みたくない方はこのページを閉じてください。

 

 

 

2016年10月27日

背中に何かゴミのようなものを背負っているケラ幼虫を発見した。脱皮しそこなって殻が残ったのかな、などとやや呑気な推測をしていた。その子は、デネブ級に追い立てられて地上まで逃げた。

水槽組のケラ幼虫たちは、たとえ餌を漁る時でも頭とせいぜい腹部の半分くらいまでしか地上に出さない。地上をよたよた歩くその子の腹部は、奇妙な形に潰れていた。

 

 

 

f:id:say-01:20161027172713j:plain

こうなった原因はわからない。だが、この子はデネブ級に追いかけられていた。状況から判断すれば、デネブ級エリアのトンネルにカチコミかけようとして、返り討ちにあった、というのが一番ありえる。

 

うちで暮らすケラたちは皆、同じ親から生まれた。この子らの親、ベガとアルタイルは、水も食料も隠れる場所もないプラスチックケースの中で一晩を過ごしても死にもせず、人に飼育されながらたくさんの卵を残した。2匹とも生命力の強いオケラだったのだと思う。その両親からDNAを受け継いだこの子らもまた、結構強いのではないかと思う。

戦闘力的な強さではなく、生命力が。何せ、狭い金魚鉢の中で60匹以上が生き残っていたのだ。

 

これまで、ベガを除いてケラの死骸を発見したことはなかった。アルタイルの死骸はおそらくベガの血肉となり、幼虫らの死骸は、きょうだいたちによって片付けられていると思う。まさか、怪我をした子ケラを初めて発見したその日に、別の子が死んでいるのに気付こうとは。

f:id:say-01:20161027174231j:plain

きれいな体をしている。お尻のポッチは黒くなっているが。

両前脚はバンザイの形だ。腹部は弾力なく柔らかい。

 

兼ねてから謎に思っていた口の構造をこの機会に調べたかったが、2対(つい)4本の口器は中央に固く閉じており、無理やり開けば壊れてしまいそうでやめた。

 

いろんな考え方があろうが、私としては、この子もきょうだいたちのタンパク源になるといいと思っている。そんな主義。哲学。

 

水槽に戻して、蓋を閉じた。