さよならオケラとの暮らし
2018年12月31日
もう、とっくに寿命が尽きていることは分かりきっていた。たくさんのオケラがうちで生まれ死んでいった。920 もその1匹に過ぎない。十分長生きだったと思う。亡骸を始末してくれるきょうだいはいない。最期の瞬間に立ち会おうとするよりも、土に還る時を静かに迎えてもらうことにして、いたずらに住処をほじくり返すことはしなかった。
同居させていたコオロギも、すぐに姿を見せなくなった。
時間ができたら住処の水苔を捨ててブログも最終回だと考えていたものが、仕事納めの昨日まで心身ともに余裕なく、とうとう大晦日になってしまった。
1年ぶりの連休。その初日。年末にすべきとされていることをことごとく来年送りにして、オケラたちの住処だった金魚鉢の蓋を開けた。
カビまみれか、ボロボロに壊れて跡形もないか、そんな想像しかしていなかった。まさか、頭部と片方の前肢がこんなに綺麗に残っているなんて。
最後まで楽しませてくれてありがとう。君らのおかげでちょっとだけ虫に詳しくなったよ。来年か、もっと先か、またケラを飼育する機会があるかもしれない。その時はまた、日記を書くと思うけど、ひとまずおしまい。
※ 死骸の画像です。1枚目に線画加工、2枚目に加工前の画像を貼ります。
オケラは置いといて、ミノムシと遊ぼう。
2018年11月4日
先日お宅拝見して以来、飼育瓶にトンネルが増えた。
920 はもうおばあちゃんケラで、一晩でこんなにトンネルを掘ったりはもうしていないのではないか。そういえばコオロギはどこだよ?
ここだった。
本人、ちょっと暗いところに隠れるつもりで進んでただけなんだろうな。オケラがトンネルを作るときは、左官工事の要領で前脚をうまく使ってもっとしっかり壁を固める。
ところで、今年は秋口に台風が集中し、強風警報がよく出た。風が強いと我が家の自動ドアの隙間から葉っぱや花びらが侵入してくるのだが、そういうものに紛れて、超ちっちゃいミノムシが入り込んできたことがあった。
体を少し出してモゾモゾ這っていた(ということはオスだ)のでそのうちどこかに行くかと思って放置しておいたのだが、いつの間にやら、ミニチュアの観葉植物(もちろんフェイク)の鉢にぶら下がっていた。
こいつが、空気の動きに反応するのか面白い動きをするのです。まあご覧なさいよ。
ケラ、生きている
2018年9月20日
920 が生まれて1年。もういつ息絶えてもおかしくない。ほとんど姿を見せないし餌も食べているんだかいないんだかわからないほど減っていない。ほじくり返して見てみようかとも思ったが、年寄りにストレス与えるのもなんなのでそのままにしておいた。意味はないがハッピーバースデーと声かけて拍手しておいた。
2018年10月24日
今年も我が家で小さな虫を捕まえた。
コオロギだ。お尻に注射針のような産卵管があるのでメス。どうしましょう。
2018年10月25日
オケラの鉢に放り込んでおいた。920 のために入れているベビーリーフに大きくかじった跡ができているのはこの子だろうな。水苔はお気に召さないかもしれませんが、なんとかして生きてください。
コオロギも雑食性だそうなので、餌はケラと共通でよろしいかと思う。
2018年10月27日
もう一週間は 920 の姿を見ていない気がする。もしもう死骸になっているのなら、鉢から取り出しておきたいし。ということでお宅拝見。
生きてました。尻尾や足先が腐り落ちているけど、まあまあ元気そうだ。
2018年10月28日
コオロギの姿が見当たらない。初日はベビーリーフの下に隠れていたが、今日はどうしているのか。
いました。
暗がりに隠れようとして偶然できたのだろうが、洞穴のようなものを作って中に潜んでいた。オケラのように地中に潜ることをしないためか、地面の上にこんもり丘ができてその洞穴を居住地にした風情。
さて。
本格的に飼うか、どうするかなあ。
ケラについて、大学教授に聞いてみた
2018年8月8日
小西教授がちょうどお手すきの様子だったので、色々とケラの質問を投げかけてみた。
Q. ケラのメスが鳴く目的は?
A. わかりませんが、無目的ではなく、おそらく仲間を呼んでいるのでしょう。
Q. ケラのメスが自分の卵を産んだそばから食べていたのですが?
A. 無精卵だったのかもしれませんね。二世代目とのことですので、近親交配の影響もあるかもしれません。
Q. インターネットで調べると、多頭飼いすると共食いするとのことだったのですが、うちでは死骸は食べていたようですが生きている個体を襲うような様子はありませんでした。ハンターはやらないのでは?
A. 雑食性で木の根なども食べることができるので、わざわざ元気な生き物を襲う必要はないでしょうね。
Q. 卵から孵った幼虫は一回り大きくなったあたりで地面に上がってぴょんぴょんはねるのですが?
A. 拡散でしょうね。ひとところにいて餌の取り合いにならないように、散らばるのですね。
Q. 今年はオケラが1匹しか残っていないので、捕まえたいのですが、どうすれば捕まえられますか?
A. う〜〜ん(笑い)、捕まえようと思って捕まえたことないので。土を掘っていたら出てくるというか(笑い)
Q. ノミバッタも飼ってみたいのですが、捕まえられますでしょうか?
A. 吸虫管を使うといいかもしれません。ホームセンターに売っているもので作れますから、ぜひやってみてください。
アンケートの「これから昆虫展で扱ってほしい昆虫」の欄に「オケラを展示しましょう!トンネルの様子が観察できて面白いと思います!」と書いておいたので環境昆虫学研究室の皆さんよろしくお願いします。
2018年8月20日
まだ鳴き声すら聞かせてくれないおひとりさまメスオケラの 920 。今朝、給餌しつつ飼育瓶を眺め回していて、壁に緑色のカビの塊がくっついているのに気が付いた。これはもしや。割り箸でほじくり出してみると
わかるかわからないかわかりませんが、この左下の丸いやつ、おそらく卵です。
しかしながらカビてしまったということは、いうことは?
カビた卵っぽいものは5粒ほど確認できた。交尾しなくても卵産むものなのか。それともこれは何か他のものなのか。
教授への質問で無精卵を産むことはわかったわけだが、せっかくなので単為生殖しないものかと期待しているのだ。聞いたことないし。
昨年9月生まれのケラ、大人になる
2018年6月1日
2017年9月20日に孵化した薄灰色のケラ、名付けて 920 が、初めて脱皮直後の姿を見せてくれた。
美しい。
脱ぎたての殻がお尻の辺りでくしゃくしゃになっている。
そしてなんと、一段と白い後翅が背を覆っている。羽化だ。
2018年6月2日
一晩経ち、白かった体はすっかり色付いた。薄灰色は健在だ。ケラの生まれつきの体の色は生涯変わらないかもしれない証拠が一つ観測できた。
鳴き始めるまでわからないが、どうもメスのような気がする。今年は外からお嫁さんを迎えるのは無理かな。
それならそれで、単為生殖するものなのかどうか興味がある。
920 の親世代の最後の1匹はいつの間にか命を終えてしまっているので、空き家になった思い出深い金魚鉢に近々 920 を引っ越しさせたい。
ここのところ人間が忙しく疲れ果てているのですぐには無理かもしれないが。
君はオケラの排泄を見たことがあるか
2018年4月9日
920 は、時々すごい勢いで人間の与える餌を食べ尽くしているが、基本的にはほとんど姿を見せない。賢明である。
この春産まれた子らはいつの間にやら全滅しており、その子の母親はまだ生きていて、時々卵を産んでいる。
卵は大体自分で食べるか、放置してカビの塊にしてしまう。
そんな彼女、何度も往復して作った立派なトンネルで、しきりとお腹をさすっている。このような場面には久しぶりに遭遇したので、iPhone 片手に近寄ってみた。
すると、お尻の先から何やら白いものが…
卵かな、と思ったけどそうじゃなかった。このあとトンネル内を行き来してまた同じ場所に戻ったので、続けて何か出すかと構えていたがそんな様子はなく、口器で丁寧にお尻を掃除して奥に潜っていった。